『わしずみ王のくに』のあらましについて紹介します. 『わしずみ王のくに』は、四国東部に位置し、徳島県と高知県の県境である竹ヶ島(たけがしま)・甲浦(かんのうら)湾を中心にした、北は徳島県海陽町海部川周辺から、南は高知県東洋町野根川周辺まで、高さ1000mに及ぶ山々と太平洋に抱かれた風光明媚な地域です。沖合を流れる黒潮の影響により、平均気温は16.3℃と温暖な気候で、夏に涼しく冬に暖かい南国的な特長を有しています。 豊かな自然に恵まれたこの地域の歴史は古く、5世紀までさかのぼることができます。日本書紀などによると、履仲(りちゅう)天皇の兄である鷲住(わしずみ)王により初めて開かれたとされています。鷲住王は、宍喰(ししくい)川、海部川、野根川流域の土地を開墾し、農耕をはじめとする殖産興業につとめました。中世には南四国太平洋岸の中心地となり、鷲住王の子孫にあたる豪族の海部氏が、優れた工芸品や木材を主とした交易を行い、朝鮮・中国との海外交易では、膨大な数の海部刀が輸出された記録も残されています。 この地域には特徴ある自然が多数あります。代表的なものをご紹介しましょう。 まず地質学的に目を引くものとして、天然記念物にしていされている化石漣痕があります。 植物学的には、四国や紀伊半島が北限のアコウなどの熱帯性の植物が自生している他、特定植物群落に指定されている八坂・八幡神社のシイ林や、天然記念物に指定されているヤッコソウの北限域にあたる鈴ヶ峰などがあります。 海岸は、室戸阿南海岸国定公園に指定されており、大手海岸から景勝地の水床湾を経て、海中公園がある竹ヶ島・甲浦湾を通り、白砂青松の美しい砂浜が広がる白浜海岸、サーフィンのメッカである生見海岸へと続いていきます。その海岸線は砂浜からリアス式海岸まで変化に富み風光明媚な海岸景観を創り出すとともに、カモメやウミネコは勿論、時折、ミサゴ、ハヤブサ、カワセミも見られます。また、カンムリウミスズメの目撃情報やウミガメの産卵情報も寄せられており、野鳥はもとより多くの生物の生息空間ともなっています。また、この沿岸海域は、採貝漁、定置網漁やたて網漁などが盛んで、また、養殖業も営まれています。 海中公園を含む竹ヶ島・甲浦湾では、エダミドリイシを中心とした造礁サンゴ類やアマモなどの間を色とりどりの熱帯魚が群をなし、夏季にはシロボシテンジクやアオリイカの産卵を見ることもできます。サンゴを中心とする生物群集やアマモ等の藻場は水産資源の供給源としても貴重なものとなっています。 このように沿岸域では、豊かな自然環境だけでなく、湾岸や主要河川の河口部には漁港港湾施設が開かれ、古くから水産業や海上交通の拠点となっており、色濃く残る漁村の風情や祭事なども含めて、経済産業や文化の面でも特徴のある地域になっています。 |